58年のジャズ・フェスティバルを収録した同名映画のサウンドトラックですが、ぜひとも映像と一緒に味わって欲しい作品です。
80分に凝縮されたニューポート真夏の4日間。桟橋の先に色とりどりの舟、青い海を走るヨットの帆と飛沫の白、街を縫って走るジープの楽隊。どこをとっても息を呑むような素晴らしいカットばかりです。
オープニングを飾るジミー・ジュフリーのテナーは波間を転がるよう。セロニアス・モンクもリラックスしていながら、たった1小節であっさり私たちの心を攫っていきます。そして全盛期にあったアニタ・オデイ。「スウィート・ジョージア・ブラウン」に続いて歌う「二人でお茶を」のスキャットは冴えに冴え渡って会場を包み込み、場の空気を作り上げていく様子がそのまま目に映るかのようです。ああ素晴らしい!
フレッド・カッツによる無伴奏チェロ・ソナタを挟んだ夜の舞台は”クイーン”・ダイナ・ワシントンの「オール・オブ・ミー」で幕を開き、謎のゲスト、チャック・ベリーのご登場。神出鬼没なダック・ウォークの行き着く先にはルイ・アームストロング・オールスターズ!父よ…。溢れる幸福感に何度でもうっとりしましょう。
マイルズもコルトレーンもロリンズも登場しませんが、フィルムが終わる頃には既にジャズのとりこになっているあなたも、何度となく「ジャズ」に首を捻らされてきたあなたも、きっと真夏の夜の観客になっているはず。
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