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12/17/2012

Smile from the Streets You Hold / John Frusciante


 言わずと知れた元Red hot chili peppersのギタリスト、ジョン・フルシアンテが麻薬中毒の真っ只中だった当時、ドラッグを買う金を得るためにほぼギター弾き語りのみで制作した2ndソロアルバム。レッチリの作品や、ジョンの最近のソロアルバムにあるような洗練された音とは全く違い、一聴すると無茶苦茶なギターの上に何を言ってるか分からない適当な叫び声を乗せただけの曲が並んでいるだけのように感じてしまうかもしれない。しかし、聴き進めていくうちに、根底にあるメロディの美しさや伴奏の良さに気づき、そしてジョンの「歌」がいかに魅力的なものであるかわかるようになっていくはずである。某Pitchforkで0点を付けられたり、ジョン自身も発表したことを後悔している的な発言をしているが、個人的には最高のサイケかつソウルアルバムだと思っている。(1997 Birdman)

6/26/2012

STAn / STAn

「結局STAnとstonesだけが全てに絶妙な距離保ってる/色んな奴が色々言っても 言っとくけどさ 一個もあってない」(#1.After all)最高の歌詞だと思った。メジャーとの契約が切れ、インディーズでうだつの上がらない活動を強いられてきたスリーピースロックバンドの最高の復活宣言だった。聴けばそれとわかる独特なギターリフ(弾きながら歌えるのが信じられない)と骨太なリズム隊の絡みに粘っこいボーカルが乗るサウンドはそのまま に、以前からのシニカルな自己肯定の果ての激情の表現がより洗練されていると感じた。どんなバンドも、ひとたびデビューすれば「○○系」とか「○○フォロワー」といったように括られ好き勝手に評価される時代において、STAnはその全てを突き放し、本気で「いいよ そんなんどうでも」(#2.Rough diamond future)と究極的な自己肯定を歌う事ができる唯一のバンドだったと思う。このアルバムと配信シングルのリリースを最後に彼らは突如解散してしまうが、一度ダメになったバンドがもう一度這い上がろうとする一瞬のきらめきが惜しみなく詰め込まれている。無名なせいで旧作もきちんと評価されていないのが 残念。再評価を待つ。

言葉にならない、笑顔を見せてくれよ / くるり

いやぁ、くるりも大人になりましたね。今回は簡素なアレンジだからこそ歌のメッセージがすっと入ってくる、歌を大切にした歌謡アルバムになっています。 ユーミン参加曲(#7)も収録。今までのくるり(特に岸田繁)を考えると「こんな力みの無いポジティブな曲を書いてくるなんて、よくここまで来たなぁ」 と、ファンとしてグッとキますね。カッコイイ音楽ももちろん良いけど、カッコつけてばかりじゃ疲れるし…たまには素直に、純粋に「歌ってええなぁ。」と思える幸せをこの一枚は与えてくれます。くるりからのメッセージはアルバムタイトル『言葉にならない、笑顔を見せてくれよ』の通り。みなさん、もう悲しいストーリーに依存するのも飽きてきたのでは?そろそろ日常のきらめきに目を向けてみてはいかがでしょうか。“温泉”(#5)はアンセム。ジャケもブックレッ トの写真も必見です。昔のヒリヒリした感じが好きだったという人も、是非久しぶりに聴いて欲しい一枚。もちろん、この作品からくるりをフォローするのも大 アリです。

3/24/2012

アンダーグラウンドパレス / 豊田道倫&ザーメンズ

パラダイスガラージ=豊田道倫から2011年1月1日に繰り出された一枚。全曲弾き語りだった前作「バイブル」とは違って、前々作「ABCD」での昆虫キッズとのコラボが内面化、昇華されたような、荒々しい作品となっている。特にタイトル曲「アンダーグラウンドパレス」の狂気は本物。「西成、26時」の ような美しい曲もそっと置かれている、ウェルメイドなロックアルバム。

11/03/2010

かまボイラーファースト / かまボイラー

サンボマスター山口隆プロデュース作品。山口隆はコーラスやギターで共演もしている。山口隆がほれ込んだ清水貞信(Gt,Vo)率いる4 ピースロックバンドの1st ミニアルバム。仮面ライダーの怪人の名前から取ったといわれる、一見するとコミックバンドのような名前とは裏腹に、彼らがかき鳴らすのは、鬱ぶった自意識過剰な健康優良児のための邦楽ロック界ではなかなか聴けない、力強くも、どこか懐かしい純真なロックンロールである。M1「ミミタブ」M5「イワナホンドボー」は独特の歌詞にも注目。現在活動休止中であるのが本当に惜しい。

8/20/2010

Fires in Distant Buildings / Gravenhurst

テクノ界最重要レーベルであるWarpの放つロック……といえば、!!!やバトルズ、最近ではNice Niceのようなダンサンブルなロック、というイメージを持つ人は多いと思いますが、ある時はポストロックのようであり、またある時はほの暗い、極上のバラードを聴かせてくれるGravenhurstも、実はWarp所属のロック・バンドなのです。
3枚目のアルバムとなる今作では摩天楼の隙間を漂う狂気を温度感の低いギターとともに歌い上げていきます。音的な目新しさには欠けますが、タイムレスな良作ではないでしょうか。

3/27/2010

Empire of Passion/Splice Of Life / Factrix

サンフランシスコで1978年から4年だけ活動した、インダストリアルのパイオニア、Factrixの1st EP。収録曲は、冷え切ったメタルパーカッションが印象的なEmpire of Passionと、不気味な効果音が終始飛び交うSplice of Lifeの2曲。一見、手の付けようのない音盤のようだが、全編を貫くトライバルなビートが予想外の親しみやすさを演出しており、見事な仕上がり。

xx / The xx

ロンドン郊外のWandsworthから現れた4人組、The xxの1stアルバム。各メディアが大絶賛したので、一大学生から今さら言うことは無いかも知れないが、世紀末の憂鬱を引きずりながら育ってしまった今の若者の温度感を、最小の音数で表現してしまう卓越した才能には、ただただ舌を巻くしかない。雰囲気に頼りすぎて、根本的に工夫に欠ける感は否めないが、次作では上手く修正してくれそうな、期待の持てるバンドである。

712 / Shonen knife


少年ナイフの音楽で遊んでいるところが大好きです。簡単そうでなかなかできないことをやっていると思います。特にメジャーに移籍するまでの初期4作は遊び精神で溢れています。そのなかでのメジャー前のアルバムはパンク,フォーク,ヒップホップ,ビートルズのカバーなどとても多彩なジャンルを彼女たちらしくローファイに演奏してるのがとてもかっこいいです。歌詞もダイエット、牡蠣、大阪、ブランドバックなど…まさに音楽で遊んでるアルバムです。

一億年レコード / まつきあゆむ

自宅録音家まつきあゆむの28曲入り5枚目。本人にメールして買うダウンロード販売のみという流通形態の方が話題になってますが、内容も素晴らしいです。コンセプト(?)は「MP3でも全然泣ける。」宅録の箱庭感があって、歌も何とも言えないピッチの外れた感じだけれどそこがいい。基本的にはポップでわかりやすいです。ビートルズっぽい変なパンニングもポイント。ビートルズやくるりやMOTHER2が好きな現代っ子による2010年の音楽。あったかいアルバムです。

11/29/2009

Let It Be... Naked / The Beatles (2003)


解散期にあった最後の作品で、よく「まとまりがない、バラバラだ」と言われる気がするのですが、これまたどうでしょうか。’Get Back’、‘I Me Mine’ のようなケンカっぽい曲もありますが、1曲入れ替えただけで”Naked”のまとまりようなのですから、アルバムとしてはやはり高いといえるでしょう。’The Long and Winding Road’、’Let it Be’の2曲は、特に間奏に大幅な変更があり、オリジナルに慣れている方には物足りない感があるかもしれませんが、かえってあの素朴さに、じんとくるものを感じないでしょうか。上の2曲におけるリンゴの、極限までにシンプルな8ビートも、”Naked”の名をまさに体 現している名演です。

Beatles For Sale / The Beatles (1964)

とあるファンサイトには、「ビートルズの作品中、内容・ジャケットともに最も地味な印象のアルバム」とあるのですが、どうでしょう。僕はジャケットだけなら『with the Beatles』といい勝負だと思います。内容も、確かに地味かもしれませんが、コーラス・ワークやカバー曲アレンジの巧みさには、過渡期にあった彼らの成長が、地味に(?)あらわれていないでしょうか。2枚の映画サントラの間にあって、相対的にいくらかマージービートっぽくない音も、いい味出してます。