昨年(2011年)5月逝去した事も多くのソウル・ ファンには記憶に新しい、ギル・スコット= ヘロンとその盟友ブライアン・ジャクソンによるライヴ盤。 CDは2000年にリリースされ、ソウル、ファンクのファンは
勿論、 レアグルーヴやヒップホップ等多方面から熱いリスペクトを受け続 け、 逝去時にはラップの先駆者として毎日新聞に訃報が載ったという、 レジェンドの名にふさわしいギル爺の名盤中の名盤である。 彼の元の父はキューバ系のサッカープレイヤー、母はオペラ歌手、 離婚後の母の再婚相手はプエルトリカン、 少年時代をプエルトリコ系コミュニティの中心地であると同時に、 ビートニク文化の中心地であったNYのチェルシーで過ごすなど、 後の音楽性への強い影響の伺うことのできる出自を持つ。 表題曲は、この世界に生まれてきたのだから!自由を! という広大でアツいメッセージを、 民族意識などはたはた薄い大和民族の一小娘にも感じさせてしまう スゴい曲。2曲目以降続くラテン・ ジャズな楽曲からにじみ出るのは、プエルトリコやアフリカン・ アメリカン、 つまり米における人種的マイノリティとしてのアイデンティティの 誇示。 聞きやすくオシャレな曲に鋭利でラディカルなメッセージを挟みつ つ、ポエトリー・リーディング、 最早ラップのようなトラックを入れてくるあたりも彼が「 黒いディラン」と呼ばれる所以である。Esther Phillipsのカバーでもソウルファンには身近なHome is where the hatred is、それからPaul WellerやJoe Bataanなどのカバーでも有名なThe Bottleも、このライヴでは曲中盤にて、 オリジナルバージョンのわりとクールでさりげないイメージをこれ でもかと裏切り怒号のように繰り広げる、 プエルトリカン的血湧き肉踊るリズム隊のソロは、 鳥肌モノで感極まること請け合いである。リリカル・ テロリストな彼の音楽から発せられる重い詩のパワーの洗礼を受け る事は、全ソウル・レアグルーヴ・ ヒップホップファンの使命ではないだろうか。
(1976 Arista)
(1976 Arista)
0 件のコメント:
コメントを投稿